《10月企画バトン》冬の味覚

10月でこのブログが1才のお誕生日を迎えたそうで。おめでとうございます。
秋が好きなので、秋生まれなのが羨ましいです。
 
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生まれた季節は春だが、秋に惹かれてしまう。
日が短くなっていく感覚、肌寒い気温、秋色の服が好きだ。ご飯もおいしくて最高。
賑やかだった夏と、肌を寄せ合う冬に挟まれた曖昧な時間はどうしてこんなに切なく、あっという間なのか。そこが好きなのだけれど。
 
秋が終われば、あっという間に冬がやってくる。
 
私は雪国で爆誕した。
小学校では体育の授業にスキーをし、休日の朝は父親と庭の雪かきをする。雪風を極力避けるため電車のドアはボタンを押さないと開閉しない。映画館もCDショップも無い。
田舎の生活は私にとってハードモードだった。まさしく冬の時代だ。
 
中学2年生の時だったと思う。その日は午前中で授業が終わりだった。
徒歩15分位の帰り道を1人で歩いて帰った。ダイナソーJr.を聞いていた。
ナンバーガールという既に解散していたバンドをインターネットで見つけて好きになり、彼らが影響を受けたバンドを熱心に聞いていた。
正直、それらの良さは当時全然分からなかった。
 
外はとても陽が照っていたが風が強く、風がぴゅうっと1つ走り抜けたあと、頭の上に冷たさを感じた。
イヤホンを外して頭上を触る。手を見ると水滴が付いていた。その年初めての雪だった。
雪なんて毎年見飽きていたが、なぜかその時は立ち止まって空を見上げた。眩しくて目を細めながら、顔にちらちらと降りてくる冷たさを浴びた。
 
口をわずかに開けてみた。
雪の味は知っていた。(吹雪だと嫌でも口に入ってしまうことがある。)
雪は大気中のゴミで出来てるから汚いって前に言われたけど、初雪だったら違うかもしれないと思った。
舌に乗せてみると、冷たいけどすぐに溶けてしまい、なにも味はしなかった。
やっぱりおいしくもまずくもなかった。
 
初雪だからといって、特別なことなんてひとつも無かった。
 
たったそれだけだったが、毎年初雪が降ると、この出来事を思い出す。
 
東京で過ごす冬も今年で7年目になる。
今年もこの街に初雪が降ったら、おぼつかない足取りで歩くピンヒールを履いた人々をニュースで見て苦笑し、すぐ遅延する電車にため息をつき、同時にあのひんやりした初雪の味を思い出すのだろう。
 
なんにもない味が、いつまでもいつまでも私の中に残り続けている。
 
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最後までご拝読いただきありがとうございました。お題は「初雪」でした。
この企画に参加でき嬉しく思います。
肌寒くなったかと思いきや夏のような気温に引き戻され、もう身体がへとへとです。。。
皆さまもくれぐれもご自愛下さい。良い秋冬にしましょうね。
 
 
上澄み(@__oldfriends)